日本(政府)の借金を全て返してしまうと、とっても大変なことになってしまうかもよ?という記事です。
この記事を書き始める少し前、私は「国の借金が大変なことになっている」というニュースを見かけ、気になって色々調べていました。
そこで、ある動画に出会ったのです。
その動画では「信用創造」という不思議な仕組みについて説明していました。
最初は全く理解できなかったのですが、色々な解説ページや動画を見ることによってなんとなく理解できるようになりました。
そして「日本の借金」について、驚愕の事実を知ることになったのです!(大げさ)
私がマクロ経済に興味を持った切っ掛けである「日本の借金」についてなるべく分かりやすく書いたつもりです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
信用創造という仕組み
「信用創造」とは、銀行で借金をすると世の中のお金が増える仕組みの事です。
例えば、元々Aさんが100万円持っていたとします。
1)Aさんが100万円を銀行の自分の口座に預けます。>Aさんの口座の残高は100万円
この状態で、銀行は預かった100万円から日銀に預ける法定準備預金額の1万円(準備率を1%とした場合)を引いた99万円を誰かに貸すことが出来ます。
2)Bさんが新たな事業を始めるために、銀行から99万円を借り、自分の口座に入れます。>Bさんの口座の残高は99万円
さて、この時点でもAさんの口座の残高100万円はそのままなので、Bさんの口座の残高と合わせて全体のお金は199万円となった事になります。
また、銀行は預かった99万円から日銀に預ける法定準備預金額の9,900円(準備率を1%とした場合)を引いた980,100円を誰かに貸すことが出来ます。
3)Cさんが車を買うために、銀行から980,100円を借り、自分の口座に入れます。>Cさんの口座の残高は980,100円
こうなると、AさんBさんCさんの口座残高合計は、2,970,100円となります。
つまり、元々100万円しかなかったものが、BさんとCさんが銀行からお金を借りる(借金をする)事で、1,970,100円(BさんとCさんの借入合計)分のお金が増えたという事になります。
これが「信用創造」の仕組みです。
なんか数字遊びのような感じがしますが、現在の経済は実際にこの仕組みで回っています。
借金を返した未来
現在、日本(政府)には、約1246兆円の借金があります。
これは、上の「信用創造」の仕組みにより、日本国内全体として「約1246兆円のお金が増えている」と考える事が出来ます。
さて、この信用創造で増やしたお金ですが、全部(政府以外)も合わせるといくらぐらいになるのでしょうか?
日本銀行が発表している「マネーストックM3」という指標があります。
これは国内の通貨「現金と預金」をすべて合わせたものです。
では、2021年現在のマネーストックM3はいくつでしょうか?
マネーストックは日本銀行のWebサイトで調べることが出来ます。
2021年3月の速報によると・・・
1,490兆円
・・・
政府の借金で生み出された通貨が約1246兆円で、日本国内の通貨の総量が1,490兆円です。
・・・8割!?
日本国内の通貨の8割が政府の借金で出来てるってこと!?
ってことは、借金返したら国内の通貨が1/5になるって事ですか!?
完全に平等に減っていくわけではないと思いますが、単純に考えると、現金と預金を合わせて1千万持っている人が、政府が借金を返すと、200万になっちゃうって事ですよね?
まじか~
やばいだろそれ・・・(^^;
じゃあ、どうすりゃいいのよ?
え?
返さなきゃいいんじゃないですか?
だってほら「日本(政府)の借金はほどんど国民が貸してる」とか言ってる人いるじゃないですか、あれが正しいとしたら、国民が「いいよ、いいよ、返さなくって、ずっと借りてて」って言えば返さなくて済むでしょ?
返しちゃうとお金減っちゃうし、返してもらわない方が良いよね?
結論?
現在の日本のように、ここまでの規模で政府の借金が膨れ上がった例は、世界の歴史でも例がないそうです。
このまま借金(信用創造)を続けていくとどうなるのか?
「大変なことになる」という情報はありますが、誰も具体的な予測を立てられていないようです。
「インフレにすることで政府の借金を減らした国がある」みたいな話をどっかの動画で見ましたが、どこの動画だったか忘れてしまいました。
タイトルには「借金を返してはいけない」と書きましたが、普通に考えれば借金は返すものです。
でも、信用創造という観点から見ると上で考察したように「返さない方が良い」となってしまいます。
私の解釈が間違っているのかもしれません。
詳しい方が居られましたら、是非コメント等でご指摘いただけると嬉しいです。
用語解説
信用創造
現代のお金を生み出す仕組みです。
昔は金本位制と言って金や銀などと交換できる兌換紙幣が使われていましたが、経済の発展に伴って金の量が不足し、管理通貨制度へ移行しました。
管理通貨制度では、金の裏付けが無くても信用創造でお金を発行できます。
日本(政府)の借金
財務省のWebサイトにある「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(令和2年12月末現在)」の情報を基に算出しています。
国債及び借入金現在高(10,406,729億円) + 政府保証債務現在高(340,006億円) = 1246兆4686億円
上記の式から、約1,246兆円としています。
政府保証債務は、政府が借りているわけではないが独立行政法人等の借り入れを政府が保証しているものです。(簡単に言うと、政府が保証人になっている借金です)
マネーストックM3
これは国内の通貨「現金と預金」をすべて合わせた指標で、日本国内に流通しているお金の量を表しています。
マネーストックの統計は定期的に日本銀行が発表しています。
参考
Tsuneki Ohnishi > 2018 07 29 目黒講演会2/3
日本銀行 > 準備預金制度とは何ですか? 超過準備とは何ですか?
日本経済新聞 > 国の借金、1087兆円に増加 3月末、国民1人当たり859万円
コメント
なんとなく判りますが、落語の花見酒みたいな話に感じました。
笠信太郎さんが「花見酒の経済」という本を出したことはご存知でしょうが、こういう話でしたね。
長屋のクマさん八っつぁんが一斗樽の酒を仕入れて釣り銭5銭持って上野の花見で儲けようとする話です。
2人は酒が飲みたくて途中で釣り銭の5銭をお互いにやり取りして上野に着く前に酒を全部飲んでしまいます。
あとに残ったのは空っぽの一斗樽と5銭だけだったというオチです。
笠信太郎さんは日本の高度成長期の状況がこれによく似ていると指摘していましたね。
コメントありがとうございます。
「花見酒の経済」という本は知らなかったです。
面白そうな話ですね。ちょっと調べてみます。
「花見酒の経済」の話は信用創造よりもGDPの話に近いような気がします。
個人や企業の消費と貿易の合計がGDPになるので、5銭が10回行き来するとGDPは50銭になります。
でも、実際の経済は成長してません。GDPっていったい何なんですかね?
経済は知れば知るほど不思議がいっぱいです。